ブレイドオブアルカナ3rd ~常在戦場~ [TRPG]
今日はブレカナのセッションだった。ボクのPCだったアリエル・バールシュタインが「殺戮者として」立ちはだかるセッションであり、ボクとアリエルのパートナーPCのPLのために用意されたといっても過言ではないセッションだっただろう。
自身のPCが“堕ちた”場合は、割と自分でGMをやってケリのようなものをつけることが多い。しかし、ボクはそれをしなかった。
堕ちた回の記事でも書いたことだけど、堕ち際がいい場面だったので、自分で物語をつけるのは蛇足な気がしたこと。そして、自分でシナリオを作ってしまうと、たぶん「やりすぎて」しまう気がすること。思い入れがある分、強すぎる殺戮者にしてしまうのは珍しいことじゃない。
そんなわけで、ボクは別のPCで彼女の最期を見るため、今回のセッションに参加したのだ。どのような散り際になるのか、最後まで見届けてやるのがPLの務めでもあるのだから…。
まずはPC紹介
PC1:アクシス・アダマス・マーテル
アリエルのパートナーであったキャラ。アリエルの腹心であり、忠臣として仕えた「アリエルの騎士」である。彼女が闇へと堕ちたことを知っている彼は、諸所の事情をクリアし、ついに主君と相対する。バールシュタイン、その家名を守り抜くために、彼は…。
PC2:グラディウス・アルドール・エフェクトス
旅の剣士。実は魔神の帰依者。ふとしたことで出会った少女に、今は袂を別った弟の面影を感じ取った彼は、父の行方を捜すという彼女を手伝ってやることにしたのだが…。
PC3:クレアータ・デクストラ・エフェクトス
MyPC、クラーウィス・プロフォンド。セッションとしては前回から連続で登場。昔世話になった恩人と再会の約束をしたが、その時に彼は姿を現さなかった。何かあったのかも知れないと考えたクラーウィスは、彼の行方を捜すべく行動を開始する。
以上~。今回は色々と都合のつかないこともあり、3人でのプレイとなった。
オープニングは過去の話。クラーウィスはクレアータらしくあまり感情を表に出さないタイプなのだが、それとは完全に逆とでもいうべき人物に出会う。
彼は真教の中でも「修練派」と呼ばれる教義の一門であり、自己を鍛え上げることを命題としているアクアである。
彼はとにかく喜怒哀楽がコロコロと変わる感情表現に富んだ人物だった。氷と炎といったクラーウィスと彼ではあったが、しばらく付き合っていると憎からず思えてくる。
いつの間にか彼を少なからず大事に思っているクラーウィスがおり、別れ際には「来年もまたここで会おう」と彼の一方的な約束ではあったが、そういう会話が出る間柄になっていた。
しかし、1年後の今、そこに彼の姿はなかったのである。何かあったのかと思ったクラーウィスは、他の修練派の人間に聞いてみることにする。
すると、彼はバールシュタイン領というところで行われていた武道会に出場しに行き、そのまま帰ってこなかったらしい。
クラーウィスの足は、自然とバールシュタイン領へと向かっていた。彼に会いたいと思う気持ちが、自身をして何故なのかははっきり分からない。しかし、そうせざるを得ない。
その理由が如何なる理屈理論によって導き出されるのかは、とりあえず後で考えることにする。まずは彼の行方を捜そうと、足取りを急がせた。
バールシュタインに着いてみると、そこは少しお祭りのような状況になっていた。なんでも、大変な事件に領単位で巻き込まれた結果、作物の収穫なども行えなかったため、財政的に厳しい状況だったらしい。そこで、外貨を稼ぐため、領主が武道会を開催するようにしたという。
捜している彼も、この武道会に出場したらしいことは聞いているので、そちらに彼の手がかりはないかと向かってみることにした。
修練派の他の人たちから言わせれば「勝っていたのなら仕官するだろうし、負けていれば修行の旅に出たのだろう」とのことだった。
修行しなければならないなら、修練派たちの修行場所に顔を出さなかった(約束してた場所ね)のは不思議だし、実際のところ彼が出場してどうなったのかも分からない。勝って仕官していたり、負けて修行を積み、もう一度出場していたりするかも知れない。
何にせよ、とりあえずコネもないので、出場登録をしている係りの人間に彼が今回エントリーしているかどうかを聞いてみた。
だが、彼は出場してはいないらしい。それどころか、彼は第二回で優勝し、しかし、仕官せずにこの地を去ったという。
ならば、何故彼は約束を違えたのだろう? クラーウィスは頭を悩ませてしまった。単に約束を忘れただけという可能性や、彼が一方的に約束しただけであったから、という可能性は勿論あるだろう。とはいえ、どうも腑に落ちないものも感じるのだ。
なぜなら、優勝者はこの領の領主と戦う権利を得るらしく、色々な配慮のため、非公開で拳を交えたとのことだったからだ。
本当にこの話は信じられるものなのだろうか。非公開であった以上、そこで何があっても不思議ではない。逆に、何かあったのだとしたら、彼が約束を守れなくても当然である。
そうしていると、可愛らしい少女と、屈強そうな男が何やら話しているらしいところに出くわす。手がかりらしい手がかりもないので、とりあえず彼のことを聞いてみる。
遠くながら、クラーウィスの捜す彼の話をしていたように聞こえたのもあったので、聞いてみる価値はありそうだと思えたのだ。
すると、なんと彼らも同じ人物を捜しているところだという。少女は彼の娘さんだそうで、全然帰ってこない父を捜しに来たらしい。
これといった情報もなしか、と思っていた矢先、その話を耳にした騎士風の男が話しかけてきた。彼はこの領の宮廷魔術師だと名乗り、何故かこの話に興味を持ったらしい。
まぁ、PC1なのだが、PLはともかくPCは彼のことをよく知らない。クラーウィスは1度彼とは共闘しており、知っている顔ではあるものの、信用がおけるかまでは分からない状況だ。
何故こんな話に興味を持つのか?など、PC2に詰問されても、出てくる答えは怪しげな解答ばかり。一応、クラーウィスとしては貴重な情報源なので、「彼が優勝し、領主と戦う権利を得て、実際のところどうなったのか」ということを聞いてもらうことにする。
答えをもらったところで信用など出来るはずもないが、一応聞いておいて損をすることはない。クラーウィスの能力をもってすれば盗聴などはお手の物なので(笑)、答えと「実際の会話」にどれほどの差があるか、という点でも相手の対応をうかがい知ることも出来るだろう。
仕掛けた遠話筒で情報を収集していると、ここの領主は何やら先に出会ったPC2と秘密裏に接触を取ろうとしていたりすることが判明。
更に、PC1との会話では、捜している彼のことは今までの情報通りの回答をしていたが、PC1の口からトンでもないことが飛び出す。領主は殺戮者である、と。
どうするべきかと悩んで宿屋で考えていると、以前に出会った修練派の人々と再会した。どうやら、彼らもこの武道会に参加するつもりらしい。
その場で領主の噂話を聞いてみると、どうも彼女は道場破りなども積極的に行っていたようで、強い者をこの地に集めるよう仕向けていたようだ。
表向きの面だけ考えれば、武道会で外貨を稼ぐための宣伝などと思えるところ。しかし、優勝者と非公式に戦ったり、PC2を秘密裏に呼び出そうとしたり、領主が殺戮者であるということを考えれば、もう一つの可能性が浮かんでくるのだ。
聖痕者を集めては、一人ずつ倒して聖痕を奪っているのではないのか?と。その可能性は高そうに思えるし、であれば武道会に出ることは危険を意味するかもしれない。
そこで、クラーウィスは何かあった場合に備え、闘技場を調べてみることにする。実際に領主の試合なども観戦してみたが、さすがに腕が立つ。殺戮者なのだから当然だ。
そうして調べて回っていると、入り口近辺でPC2と少女の姿を発見した。とりあえず挨拶をしてみると、どうも二人は領主のことを疑っているらしい。
持っている情報を渡して協力なりなんなりしてもらうのも手ではあったのだけど、イマイチ信用に足るものがない。なので、とりあえず話しながら誘導する感じで行こうとしてみる。
話としては、領主が怪しいから、ここにいるのは危険だということ。事を解決するのに、何も直接的な手段ではなく、外圧によるものもあるということ。少女の腕ではどうにもならないこと。などなど話して、とりあえずここを脱して外部から攻める方向で話はまとまる。
クラーウィスとしても、彼女の父親のことは気になるため、協力を申し出ることにする。今のところ、まだ全部を話すべきでもないため、一部情報は黙っておいたりもしながら。
クラーウィスたちは地下道を使っての脱出を試みるわけで、視点として見えない部分ではあるのだけど、今回はここを語らずにはいられないため書く事にしよう(笑)。
その頃、武道会は決勝戦へと進んでいた。残った二人は、PC1と、領主アリエル・バールシュタイン。ここに、主従による最終決戦が開始された。
事はほんの一瞬だった。PL的な話の展開上向いてるとか、色々な作戦、思惑などもあり、完全にタイマンではあるのだけど、奇跡が乱れ飛ぶ展開になった。
なんとこの戦い、1ターンどころか1行動も行われなかったのである(笑)。判定がまるでないという、本当に奇跡だけの戦いだった。
クラーウィスやPC2のDPダメージがほとんどないことや、最後だけ出ればいいんじゃね?とかもあり、戦うのはPC1だけ。拡大や因果応報などを防ぐ意味でも最適な選択だったかも。
結果、観衆はシーン攻撃で吹っ飛び、リング?は爆破の逆位置で壊れぶっ飛んでいってしまう。完全に衆目が消えた状況で、PC1とアリエルは、壮絶な相打ちとなった。
アリエルのアイアンクローはPC1を貫き、PC1のグレートソードもまた、アリエルの体を貫いていた。どちらも助かるはずもない、完全な致命傷である。
以下は、その際の会話だ(細部忘れたからこんな感じ、で勘弁(爆))
「アリエル様、このような形でしか奉公できない私をお許しください」
「いや、お前に討たれるのなら、妾は本望じゃ」
「貴女の忠臣として、闇に囚われた貴女をお救いし、バールシュタインの家名を守るにはこの方法しかありませんでした」
「よくやってくれたぞ。礼をいう…」
互いに互いを貫いたまま、二人は事切れる瞬間まで、こうして会話をしていたのだ。PC2は、逆賊として領主を討ったという汚名を被り、家名を守って死んでいこうとする。
死に際に、再生の逆位置を観衆に向かって放ち、この戦いで犠牲になったのは領主とPC2のみ。闘技場は壊れたが、他の被害は全くなかったのである。
「逆賊か。それも悪くない…」
PC1の最期の言葉はそうだった。だが、事態は彼が想定した以上の結果をもたらす。闘技場が壊れたせいで二人はぶっ飛んでしまい、二人が互いを貫きあった瞬間を観衆は見ていない(死んでた)。だから、観衆たちの目からすれば、「決闘時の事故であり行方不明」なのだ。
アリエルも観衆の前で異形を出す余裕はなかったし(1行動も起こせずに奇跡の撃ち合いで撃沈だから)、バールシュタインの家名には、何一つ傷がつかなかった。
PC1が逆賊として認知されることもなく、悲しい事故だったとして処理されるだろう。バールシュタイン家はもはや継ぐ者もなく、滅亡する家柄ではあるが、PC1はまさしく命を捨ててまでも尽くした忠臣だったと言える。語られることのない歴史に、1つの物語が加えられたことは間違いない。
その後、クラーウィスたちは地下道を使って脱出した先で壊れた闘技場を遠目で見る。何があったのか分からない中、一人の人物と出会った。
彼(彼女?なPC1の転生体)はどうもPC1とアリエルの亡骸を発見し、埋葬したとのこと。彼は降霊を使うことが出来るとの事で、少女の父親が実際どうなったのかを、アリエルに聞いてみることにした。
結果としてはアリエルに殺されていたのだが、さすがに強い人だった。殺戮者相手に1人で戦い、殺戮者に「戦いのあり方を教えた」というスゴ技をやってのけていたのだ。
アリエルは力を妄信し、貪欲に求め続けていたようだ。強い者を探し、戦い、更なる力を得る。そうして強く、強くあろうとしたようだ。
PC1にも降霊してみて、今回の「PC1の目的」を聞いてみることに。すると、彼はバールシュタインの家名を守りアリエルを救うため、刺し違えてでもアリエルを殺そうとしていたようだ。怪しげな行動を取っていた彼に、我が身を捨てて挑むというほどの覚悟があったのを知ったとき、クラーウィスは「騎士」というものを知った。それは、創造主であるアークに通じるものがあったのだろう。
誰にも知られず、語られることもない「主従の物語」は、深くクラーウィスの心に刻まれた。「アークのようになりたい」そうした願望を持つクラーウィスには、忘れられない出来事になったのも間違いない。クレアータであるクラーウィスならば、朽ち果て動かなくなるその日まで覚えていられる。
結局、少女もクラーウィスも、捜し人がもはやこの世にないと知った以上、捜す意味は失われた。残念なことではあるが、彼のこともまた、偉大な拳士であったと記憶しよう。
一度家に帰り母に父のことを報告するとのことで、少女は帰路についた。少女は、ただ力を求めるのではなく、父のように「強く」ありたいと願うようになったようだ。
だから、クラーウィスは最後に言葉を贈ることにする。「あなたなら出来る。なぜならば、あなたは偉大なる拳士であるあの方の娘なのですから」と。
そして、クラーウィスもまた足を踏み出した。闇の鎖が生み出す悲劇は、自分だけが味わうものではない。それを再認識し、滅すべき存在の意味を心に刻んだ。
いつか話そう、あの陽気で優しい猫人騎士に。父に胸を張って会えるその日が来たら、話すことが沢山ある。それを聞いた父はどんな顔をするだろう? どんな反応をされてもいいから会いたい。だから、その日を目指して頑張れるのだ――。
といったところでセッション終了。
今回は、ほとんどPC1のための舞台だったと言っても過言ではなかったね(笑)。アリエルの元PLとしても、十分に納得のいく、いや大満足のフィナーレだった。
ボクのアリエルと、PC1のPLさんが失った経験点は、合計でほぼ300点。決して少ないダメージではなかったけど、ボクらは共通して思ったことがある。
そんな経験点、気にもならない、と。
アリエルは完全にア○ーナというキャラだし、PC1はク○フトというめちゃめちゃにネタから始まったコンビだった。遊び以上の意味はなく、本気のキャラではなかったのだ。
だけど、蓋を開けてみればあら不思議。二人の歩んだシナリオは、とてもとても素晴らしいものとなって、最後は最高の形でフィナーレを迎えた。
ボクの記憶する限り、アリエルは今回のシナリオを扱ってくれたGMさんの時にしか出ていない。アリエルたちのシナリオを作ってくれたのは、このGMさんなのだ。
正直、あまりコンビキャラというのは扱いやすいものではないだろう。そんな中、毎度扱っていただいて、そしてこうして二人が納得する結末を用意していただいて、もう感謝以外の感情は湧いてこない。これだけのシナリオを経験できた、という事実を前に、経験点が飛んでいったところで何ほどのこともないだろう。この充実感の前では、ちっぽけなものだ。
こうして素晴らしいセッションに参加すると、TRPGがどれほど楽しいものなのかと再認識させられるものがあるね。色々と難しい部分もあるけど、TVゲームでは味わえない、人と人とが協力して物語を紡ぎ出すこの感覚は、やはり楽しくて仕方がないところ。
ボクの次のGMは「全体的な歴史の流れの行方を見定めて」となるので、いつというのが決まっていないのだけれど、ボクも参加者さんが楽しかったと思えるよう頑張りたいね。
最後に、アリエルたちの物語を紡いだ全ての協力者に心からの感謝を。GMさん、PLさん、全ての人たちあってのアリエルたちだった。
こうして味わった充実感を、これからもまた体験したいね。ボクたちのブレカナは動き続けている。そして、ボクはこれからも参加するだろう。
TRPGはブレカナだけじゃないんだけど(笑)、今のところ環境的にプレイできる唯一のTRPGと言っても過言ではないので、これからもブレカナを楽しんで行きたい。
さぁ、次はどんな浪漫を追いかけようか――。どこかの栗頭が言ってたけど、今はこんな心境である(笑)。やっぱ楽しみで仕方ない。次のセッションが待ち遠しいなぁ。
自身のPCが“堕ちた”場合は、割と自分でGMをやってケリのようなものをつけることが多い。しかし、ボクはそれをしなかった。
堕ちた回の記事でも書いたことだけど、堕ち際がいい場面だったので、自分で物語をつけるのは蛇足な気がしたこと。そして、自分でシナリオを作ってしまうと、たぶん「やりすぎて」しまう気がすること。思い入れがある分、強すぎる殺戮者にしてしまうのは珍しいことじゃない。
そんなわけで、ボクは別のPCで彼女の最期を見るため、今回のセッションに参加したのだ。どのような散り際になるのか、最後まで見届けてやるのがPLの務めでもあるのだから…。
まずはPC紹介
PC1:アクシス・アダマス・マーテル
アリエルのパートナーであったキャラ。アリエルの腹心であり、忠臣として仕えた「アリエルの騎士」である。彼女が闇へと堕ちたことを知っている彼は、諸所の事情をクリアし、ついに主君と相対する。バールシュタイン、その家名を守り抜くために、彼は…。
PC2:グラディウス・アルドール・エフェクトス
旅の剣士。実は魔神の帰依者。ふとしたことで出会った少女に、今は袂を別った弟の面影を感じ取った彼は、父の行方を捜すという彼女を手伝ってやることにしたのだが…。
PC3:クレアータ・デクストラ・エフェクトス
MyPC、クラーウィス・プロフォンド。セッションとしては前回から連続で登場。昔世話になった恩人と再会の約束をしたが、その時に彼は姿を現さなかった。何かあったのかも知れないと考えたクラーウィスは、彼の行方を捜すべく行動を開始する。
以上~。今回は色々と都合のつかないこともあり、3人でのプレイとなった。
オープニングは過去の話。クラーウィスはクレアータらしくあまり感情を表に出さないタイプなのだが、それとは完全に逆とでもいうべき人物に出会う。
彼は真教の中でも「修練派」と呼ばれる教義の一門であり、自己を鍛え上げることを命題としているアクアである。
彼はとにかく喜怒哀楽がコロコロと変わる感情表現に富んだ人物だった。氷と炎といったクラーウィスと彼ではあったが、しばらく付き合っていると憎からず思えてくる。
いつの間にか彼を少なからず大事に思っているクラーウィスがおり、別れ際には「来年もまたここで会おう」と彼の一方的な約束ではあったが、そういう会話が出る間柄になっていた。
しかし、1年後の今、そこに彼の姿はなかったのである。何かあったのかと思ったクラーウィスは、他の修練派の人間に聞いてみることにする。
すると、彼はバールシュタイン領というところで行われていた武道会に出場しに行き、そのまま帰ってこなかったらしい。
クラーウィスの足は、自然とバールシュタイン領へと向かっていた。彼に会いたいと思う気持ちが、自身をして何故なのかははっきり分からない。しかし、そうせざるを得ない。
その理由が如何なる理屈理論によって導き出されるのかは、とりあえず後で考えることにする。まずは彼の行方を捜そうと、足取りを急がせた。
バールシュタインに着いてみると、そこは少しお祭りのような状況になっていた。なんでも、大変な事件に領単位で巻き込まれた結果、作物の収穫なども行えなかったため、財政的に厳しい状況だったらしい。そこで、外貨を稼ぐため、領主が武道会を開催するようにしたという。
捜している彼も、この武道会に出場したらしいことは聞いているので、そちらに彼の手がかりはないかと向かってみることにした。
修練派の他の人たちから言わせれば「勝っていたのなら仕官するだろうし、負けていれば修行の旅に出たのだろう」とのことだった。
修行しなければならないなら、修練派たちの修行場所に顔を出さなかった(約束してた場所ね)のは不思議だし、実際のところ彼が出場してどうなったのかも分からない。勝って仕官していたり、負けて修行を積み、もう一度出場していたりするかも知れない。
何にせよ、とりあえずコネもないので、出場登録をしている係りの人間に彼が今回エントリーしているかどうかを聞いてみた。
だが、彼は出場してはいないらしい。それどころか、彼は第二回で優勝し、しかし、仕官せずにこの地を去ったという。
ならば、何故彼は約束を違えたのだろう? クラーウィスは頭を悩ませてしまった。単に約束を忘れただけという可能性や、彼が一方的に約束しただけであったから、という可能性は勿論あるだろう。とはいえ、どうも腑に落ちないものも感じるのだ。
なぜなら、優勝者はこの領の領主と戦う権利を得るらしく、色々な配慮のため、非公開で拳を交えたとのことだったからだ。
本当にこの話は信じられるものなのだろうか。非公開であった以上、そこで何があっても不思議ではない。逆に、何かあったのだとしたら、彼が約束を守れなくても当然である。
そうしていると、可愛らしい少女と、屈強そうな男が何やら話しているらしいところに出くわす。手がかりらしい手がかりもないので、とりあえず彼のことを聞いてみる。
遠くながら、クラーウィスの捜す彼の話をしていたように聞こえたのもあったので、聞いてみる価値はありそうだと思えたのだ。
すると、なんと彼らも同じ人物を捜しているところだという。少女は彼の娘さんだそうで、全然帰ってこない父を捜しに来たらしい。
これといった情報もなしか、と思っていた矢先、その話を耳にした騎士風の男が話しかけてきた。彼はこの領の宮廷魔術師だと名乗り、何故かこの話に興味を持ったらしい。
まぁ、PC1なのだが、PLはともかくPCは彼のことをよく知らない。クラーウィスは1度彼とは共闘しており、知っている顔ではあるものの、信用がおけるかまでは分からない状況だ。
何故こんな話に興味を持つのか?など、PC2に詰問されても、出てくる答えは怪しげな解答ばかり。一応、クラーウィスとしては貴重な情報源なので、「彼が優勝し、領主と戦う権利を得て、実際のところどうなったのか」ということを聞いてもらうことにする。
答えをもらったところで信用など出来るはずもないが、一応聞いておいて損をすることはない。クラーウィスの能力をもってすれば盗聴などはお手の物なので(笑)、答えと「実際の会話」にどれほどの差があるか、という点でも相手の対応をうかがい知ることも出来るだろう。
仕掛けた遠話筒で情報を収集していると、ここの領主は何やら先に出会ったPC2と秘密裏に接触を取ろうとしていたりすることが判明。
更に、PC1との会話では、捜している彼のことは今までの情報通りの回答をしていたが、PC1の口からトンでもないことが飛び出す。領主は殺戮者である、と。
どうするべきかと悩んで宿屋で考えていると、以前に出会った修練派の人々と再会した。どうやら、彼らもこの武道会に参加するつもりらしい。
その場で領主の噂話を聞いてみると、どうも彼女は道場破りなども積極的に行っていたようで、強い者をこの地に集めるよう仕向けていたようだ。
表向きの面だけ考えれば、武道会で外貨を稼ぐための宣伝などと思えるところ。しかし、優勝者と非公式に戦ったり、PC2を秘密裏に呼び出そうとしたり、領主が殺戮者であるということを考えれば、もう一つの可能性が浮かんでくるのだ。
聖痕者を集めては、一人ずつ倒して聖痕を奪っているのではないのか?と。その可能性は高そうに思えるし、であれば武道会に出ることは危険を意味するかもしれない。
そこで、クラーウィスは何かあった場合に備え、闘技場を調べてみることにする。実際に領主の試合なども観戦してみたが、さすがに腕が立つ。殺戮者なのだから当然だ。
そうして調べて回っていると、入り口近辺でPC2と少女の姿を発見した。とりあえず挨拶をしてみると、どうも二人は領主のことを疑っているらしい。
持っている情報を渡して協力なりなんなりしてもらうのも手ではあったのだけど、イマイチ信用に足るものがない。なので、とりあえず話しながら誘導する感じで行こうとしてみる。
話としては、領主が怪しいから、ここにいるのは危険だということ。事を解決するのに、何も直接的な手段ではなく、外圧によるものもあるということ。少女の腕ではどうにもならないこと。などなど話して、とりあえずここを脱して外部から攻める方向で話はまとまる。
クラーウィスとしても、彼女の父親のことは気になるため、協力を申し出ることにする。今のところ、まだ全部を話すべきでもないため、一部情報は黙っておいたりもしながら。
クラーウィスたちは地下道を使っての脱出を試みるわけで、視点として見えない部分ではあるのだけど、今回はここを語らずにはいられないため書く事にしよう(笑)。
その頃、武道会は決勝戦へと進んでいた。残った二人は、PC1と、領主アリエル・バールシュタイン。ここに、主従による最終決戦が開始された。
事はほんの一瞬だった。PL的な話の展開上向いてるとか、色々な作戦、思惑などもあり、完全にタイマンではあるのだけど、奇跡が乱れ飛ぶ展開になった。
なんとこの戦い、1ターンどころか1行動も行われなかったのである(笑)。判定がまるでないという、本当に奇跡だけの戦いだった。
クラーウィスやPC2のDPダメージがほとんどないことや、最後だけ出ればいいんじゃね?とかもあり、戦うのはPC1だけ。拡大や因果応報などを防ぐ意味でも最適な選択だったかも。
結果、観衆はシーン攻撃で吹っ飛び、リング?は爆破の逆位置で壊れぶっ飛んでいってしまう。完全に衆目が消えた状況で、PC1とアリエルは、壮絶な相打ちとなった。
アリエルのアイアンクローはPC1を貫き、PC1のグレートソードもまた、アリエルの体を貫いていた。どちらも助かるはずもない、完全な致命傷である。
以下は、その際の会話だ(細部忘れたからこんな感じ、で勘弁(爆))
「アリエル様、このような形でしか奉公できない私をお許しください」
「いや、お前に討たれるのなら、妾は本望じゃ」
「貴女の忠臣として、闇に囚われた貴女をお救いし、バールシュタインの家名を守るにはこの方法しかありませんでした」
「よくやってくれたぞ。礼をいう…」
互いに互いを貫いたまま、二人は事切れる瞬間まで、こうして会話をしていたのだ。PC2は、逆賊として領主を討ったという汚名を被り、家名を守って死んでいこうとする。
死に際に、再生の逆位置を観衆に向かって放ち、この戦いで犠牲になったのは領主とPC2のみ。闘技場は壊れたが、他の被害は全くなかったのである。
「逆賊か。それも悪くない…」
PC1の最期の言葉はそうだった。だが、事態は彼が想定した以上の結果をもたらす。闘技場が壊れたせいで二人はぶっ飛んでしまい、二人が互いを貫きあった瞬間を観衆は見ていない(死んでた)。だから、観衆たちの目からすれば、「決闘時の事故であり行方不明」なのだ。
アリエルも観衆の前で異形を出す余裕はなかったし(1行動も起こせずに奇跡の撃ち合いで撃沈だから)、バールシュタインの家名には、何一つ傷がつかなかった。
PC1が逆賊として認知されることもなく、悲しい事故だったとして処理されるだろう。バールシュタイン家はもはや継ぐ者もなく、滅亡する家柄ではあるが、PC1はまさしく命を捨ててまでも尽くした忠臣だったと言える。語られることのない歴史に、1つの物語が加えられたことは間違いない。
その後、クラーウィスたちは地下道を使って脱出した先で壊れた闘技場を遠目で見る。何があったのか分からない中、一人の人物と出会った。
彼(彼女?なPC1の転生体)はどうもPC1とアリエルの亡骸を発見し、埋葬したとのこと。彼は降霊を使うことが出来るとの事で、少女の父親が実際どうなったのかを、アリエルに聞いてみることにした。
結果としてはアリエルに殺されていたのだが、さすがに強い人だった。殺戮者相手に1人で戦い、殺戮者に「戦いのあり方を教えた」というスゴ技をやってのけていたのだ。
アリエルは力を妄信し、貪欲に求め続けていたようだ。強い者を探し、戦い、更なる力を得る。そうして強く、強くあろうとしたようだ。
PC1にも降霊してみて、今回の「PC1の目的」を聞いてみることに。すると、彼はバールシュタインの家名を守りアリエルを救うため、刺し違えてでもアリエルを殺そうとしていたようだ。怪しげな行動を取っていた彼に、我が身を捨てて挑むというほどの覚悟があったのを知ったとき、クラーウィスは「騎士」というものを知った。それは、創造主であるアークに通じるものがあったのだろう。
誰にも知られず、語られることもない「主従の物語」は、深くクラーウィスの心に刻まれた。「アークのようになりたい」そうした願望を持つクラーウィスには、忘れられない出来事になったのも間違いない。クレアータであるクラーウィスならば、朽ち果て動かなくなるその日まで覚えていられる。
結局、少女もクラーウィスも、捜し人がもはやこの世にないと知った以上、捜す意味は失われた。残念なことではあるが、彼のこともまた、偉大な拳士であったと記憶しよう。
一度家に帰り母に父のことを報告するとのことで、少女は帰路についた。少女は、ただ力を求めるのではなく、父のように「強く」ありたいと願うようになったようだ。
だから、クラーウィスは最後に言葉を贈ることにする。「あなたなら出来る。なぜならば、あなたは偉大なる拳士であるあの方の娘なのですから」と。
そして、クラーウィスもまた足を踏み出した。闇の鎖が生み出す悲劇は、自分だけが味わうものではない。それを再認識し、滅すべき存在の意味を心に刻んだ。
いつか話そう、あの陽気で優しい猫人騎士に。父に胸を張って会えるその日が来たら、話すことが沢山ある。それを聞いた父はどんな顔をするだろう? どんな反応をされてもいいから会いたい。だから、その日を目指して頑張れるのだ――。
といったところでセッション終了。
今回は、ほとんどPC1のための舞台だったと言っても過言ではなかったね(笑)。アリエルの元PLとしても、十分に納得のいく、いや大満足のフィナーレだった。
ボクのアリエルと、PC1のPLさんが失った経験点は、合計でほぼ300点。決して少ないダメージではなかったけど、ボクらは共通して思ったことがある。
そんな経験点、気にもならない、と。
アリエルは完全にア○ーナというキャラだし、PC1はク○フトというめちゃめちゃにネタから始まったコンビだった。遊び以上の意味はなく、本気のキャラではなかったのだ。
だけど、蓋を開けてみればあら不思議。二人の歩んだシナリオは、とてもとても素晴らしいものとなって、最後は最高の形でフィナーレを迎えた。
ボクの記憶する限り、アリエルは今回のシナリオを扱ってくれたGMさんの時にしか出ていない。アリエルたちのシナリオを作ってくれたのは、このGMさんなのだ。
正直、あまりコンビキャラというのは扱いやすいものではないだろう。そんな中、毎度扱っていただいて、そしてこうして二人が納得する結末を用意していただいて、もう感謝以外の感情は湧いてこない。これだけのシナリオを経験できた、という事実を前に、経験点が飛んでいったところで何ほどのこともないだろう。この充実感の前では、ちっぽけなものだ。
こうして素晴らしいセッションに参加すると、TRPGがどれほど楽しいものなのかと再認識させられるものがあるね。色々と難しい部分もあるけど、TVゲームでは味わえない、人と人とが協力して物語を紡ぎ出すこの感覚は、やはり楽しくて仕方がないところ。
ボクの次のGMは「全体的な歴史の流れの行方を見定めて」となるので、いつというのが決まっていないのだけれど、ボクも参加者さんが楽しかったと思えるよう頑張りたいね。
最後に、アリエルたちの物語を紡いだ全ての協力者に心からの感謝を。GMさん、PLさん、全ての人たちあってのアリエルたちだった。
こうして味わった充実感を、これからもまた体験したいね。ボクたちのブレカナは動き続けている。そして、ボクはこれからも参加するだろう。
TRPGはブレカナだけじゃないんだけど(笑)、今のところ環境的にプレイできる唯一のTRPGと言っても過言ではないので、これからもブレカナを楽しんで行きたい。
さぁ、次はどんな浪漫を追いかけようか――。どこかの栗頭が言ってたけど、今はこんな心境である(笑)。やっぱ楽しみで仕方ない。次のセッションが待ち遠しいなぁ。
微ツッコミ。
弟は、死んでないよ……(笑)
元気に聖輪八門やってるよ……
by 冷凍ゾンビ (2010-06-26 23:09)
あれ、そうでしたっけ?(笑)
ま、まぁ、袂を別った、とでもしておきます(笑)
by Metter (2010-06-26 23:18)
先日はお疲れ様でした。
二人組みを他のGM方に弄らせる事ができなかったのが心残りです。
戦闘バランスが厳しかったようで申し訳なかったです。
色々と反省点はありますが、戦闘バランスが厳しかったのは、ショートカット&1VS1だったからってのがありますので、ご了承ください。
まぁ、そのお陰でいい落しどころにはなったのですが(笑)
また、GMやるつもりですので、また機会があればよろしくお願いします。
by 中大 (2010-06-28 14:33)
いらっさいませ~。
ボクらとしては、あれだけキャラを堪能出来たので大満足ですよ。気にしてるような部分は欠片もありません。
呼んでもらえれば、スケジュール的にどうしてもって時以外は行きますので、是非よろしくお願いします(笑)。
by Metter (2010-06-28 18:10)